Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
何のことはない、祭主はこの竹藪に向って、供物を捧げ、黙祷を捧げているようなものです。
列席の秀才や、淑女は、鼻汁をすすりながら、神妙に席をくずさず構えているのは、多分、この祭礼と供養が済みさえすれば、あの捧げものの田つ物と、畑つ物と、かぐの木の実とは、公平に分配してもらえるか、或いは自由競争で取るに任せるか、その未来の希望を胸に描いて、それを楽しみにおとなしくしているものらしい。
ところで、道庵先生は、どうした。さいぜんあれほど人間味を発揮した序破急、あれが道庵先生の声でなくて何である。
ところがこの一座のどこにも、その先生の姿が見えない――
三
さいぜん、米友がこの森の、臨時祭壇に近いところまで来た時分に、この陽気な笑い声、話し声の中から、ひときわ人間味を帯びたわれがねで、「ワ、ハ、ハ、ハ、そう来られちゃ、どうもたまらねえ」とわめかれた声は、聞きあやまるべくもなき道庵先生の声であるのに、その声が、たしかにこの席から突破されて来たものであるのにかかわらず、現場を見れば、その人の影も、形も見えないから、全く狐につままれたようなものです。