Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

「あぶない、降りておいで……」

「はい」

返事はしたが、茂太郎は急には降りて来ようとしない。急に降りて来ないのみならず、なおこの旗竿に上があるならば、上りつめたい気持らしくも見える。百尺の竿頭を進めるという言葉は知るまい。知っているとも、その意味はわかるまいが、この子供は、いつも尖端を歩きたがる子供である。いや、自分は尖端を歩きたくはないが、ある力があって、どうぞして、この少年に尖端を行かせようと、押し上げているもののようにも見える。さればこそ、山に入って悪獣と戯れ、沢に下って毒蛇と親しむことを得意とするこの少年が、両国橋畔の、人間という群集動物の最も多く集合する圏内に曝されたりなんぞする。

それはそれとして、行き行きて止まるところまで行かねばやめられないこの少年は、狭い房総の半島にいて、どちらに行っても海で極まってグルグル廻り、廻りそこねてついに海の領分にまでいったん陥没するところまで行っている。山に於ては、もう房総第一の高山を極めつくしている。旗竿でもなければ、もうこの天地にいて尖端を極めるところはなかろうと思われる――降りろといっても、急に降りられない立場にいることも無理はありますまい。