Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
つまり、知らず識らず、この宿屋全体の主婦であるという実際と、気位を、いつのまにか、事情がお雪に与えてしまったようなものです。
兵馬の留守の間に、お雪はよく炭を生け替えて、新しい炭火をさしこみ、灰をならしておいて、それから余った炭を、火のしの上の炭火に加えて、そうして、暫く、うっとりとわが物のように、その炬燵に手を差しこんで考え込んでいました。
そうすると、この室はいとど閑寂ですが、二三間を隔てた、あとの二人連れのさむらいの部屋では、カラカラと高笑いがしたり、話に興が乗ったり、罵ったり、噪いだり、あざけったり、議論を闘わせたりするようなのが、ひときわ耳に立ちました。至極元気のよい人たちだが、そのわりに騒々しくないのはところがらかと思いました。
しかし、聞いていると気のせいか、二人ばかりであるべきはずの、また事実二人ばかりであるところの、二人の元気な会話の間へ、ちょいちょい女の声が入ります。
何と言っているのだかわからないが、二人が無遠慮に高話をしている間へ、女が何か言って、ちょいちょい口をはさんでは、甘えてみたり、お酌でもしてみたり、そうかといえば、軽くからかわれて笑ったり、手きびしいいたずらをされて、きゃっきゃっというて振りもぎっているような空気と、調子が、お雪の耳についてなりません。