Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
、くわしくは無双連子窓というあれなんです。風を避けるためには、通常その外側の方へ障子紙を張って、単に明り取りだけの用に供しているが、ここではまだ、紙を張ってしまうほどの時間が無かったために明戸になっていることを心得ていたから、米友が、そっと引開けて、外をのぞいて見たのです。引きあけて見て、外が月の夜であることを知りました。
月の夜といっても、この巻の初めの名に冒すところの「新月」の夜ではありません。三日月の晩でもなかったのです。当代のある人気作者が、東の空を見ると三日月が上っていたとか、いなかったとか書いたそうだが、新月とか三日月とかいうのは、どう間違っても東の空には現われないものなのです。少なくとも、この日本の国土で見得る地点に於ては……
ですから、この深夜に、窓を推すと、颯と野外に流るる月の色は、新月でも三日月でもないにはきまっている。では、何月の何日の何時何刻の月かとたずねられると、正直な米友が、きっと狼狽して吃り出すに相違ない。
ですから、ここのところは、そう正直な人間を追究しないで置いて、単に、窓を推して見ると、胆吹の山村は一帯に水の如き月色が流れている、ということで不詳していただきましょう。