Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

誰も挨拶を返すものがなくとも、この小坊主は、喋ることにかけては相手を嫌わないのであります。ですから、一向ひるむ気色もなく、そのまま右の辻から杖をうつそうとすると、

「待て――」

と言って、一人の足軽が棒をもって物蔭から立現われました。

「はい」

「坊主、貴様はどこへ行くのだ」

「はいはい、わたくしは竹生島へ参詣をいたしたいと心得て出てまいったものでございます、最初の出立を申し上げますると、日蓮上人が東夷東条安房の国とおっしゃいました、その安房の国の清澄のお山から出てまいりまして、その後追々と国々を経めぐってようやくこの近江の国の胆吹山の麓まで旅を重ねて参りましたものでございますが、ごらんの通り、旅路のかせぎと致しまして、平家琵琶の真似事を、ホンの少しばかりつとめますもの故に、この近江の国の竹生島は浅からぬ有縁の地なのでございます……」

「これこれ、そうのべつにひとりで喋りまくってはいかん――貴様、見るところ目が見えないのだな」

「はい、ごらんの通りでございます、まことに前世の宿業が拙うございまして、人間の心の窓が塞がれてしまいました、浅ましい身の上でございます。