Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「まア、おかわいそうにね」

「うむ、かわいそうと言えばかわいそうに違えねえかも知れねえが――かわいそうというよりは、我儘の分子が多いね、あれじゃあかわいそうだと思っても、本当に憫んでやる気にゃなれめえ」

「そうねえ」

「面が傷ついたからって、心まで傷つけるには及ばねえのさ、人間は面よりは心が大事だからなあ」

ここに至ってせっかく壺におさまりそうなピントが、平凡至極の俗理に落ちてしまいました。

人間は面よりな心が大事だからね――そのくらい見え透いたお世辞はないが、また醜婦に対する慰めの言葉として、これより以上、或いは以外の慰め言葉というものはない。米友ともあるべき者が、こんな平凡極まる俗理を言い出したのは、ただ、ほんの間投詞の一種類に過ぎないことは分っていますから、お雪ちゃんを失望せしめることはなく、

「どうして、あんなにお面にお怪我をなさったのでしょうか」

「うん、そりゃあね、火傷をしたんだ、子供の時分に火ですっかり焼き立てたんだね、面を火で焼かれたというより、火の中からあの面を拾い出したんだね、それで五体は満足なんだが、あの面だけが――ところがねえ、お雪ちゃん、お前の前だけれども、女というものは、なんのかんのと言うけれど、つまるところは面だけが身上じゃねえのかなあ――」