Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「ど、どうしたんだ」
ああ、よかった、米友さんが来てくれた、友さん、今、弁信さんが鷲に攫われてしまいました、大きな鷲がたくさん出て来て、そのうちの一羽が――崖に辷って転んだ弁信さんの身体を上からのしかかって、あれが本当の鷲掴みというのでしょう、胴中のところをグッと一掴みにしたまま、あれ、あの通り高いところへ飛んで行ってしまいました。弁信さんは身体が小さいから、それで子供と間違えられて、鷲の爪にかかったに違いない、あれあれ、あの崖のところへ――米友さん、何でもいいから早く弁信さんを助けてあげて下さい。
「よーし来た」
頼もしげに米友は力み立ったけれども、その実は同じところに歯がみをしいしい地団駄を踏んでいることがよくわかります。つまり、いかに米友の勇気と精力とを以てしても、翼を持たない限り、あの攫われた弁信を如何ともし難い焦躁が、お雪ちゃんにはっきりとわかるだけ、よけいに気が気ではありません。
そのくせ、鷲に攫われて、中空高くつり下げられた弁信の面を見ると――夜ではあるし、遠くはあるし、高くはあるのですから、ここで弁信の面が見えようはずはないのですが、不思議とお雪ちゃんには、ハッキリとそれがわかりました。