Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「うむ」

「まあ、あなたも、ここへお坐りなさいましな、前に日限のある旅ではなし、あとから追手のかかる旅でもないじゃありませんか」

「しかし、日のあるうちに、ゆっくり夏厩の宿まで着かなければならん、あえて急ぐには及ばないが、そう緩慢にばかりもしておられぬわい」

「わたしのためなら、かまわないことよ、ここでこうしてあなたとお話をしている間に、日が暮れてしまいましょうとも、夜が明けましょうとも、わたしはかまいませんのよ」

「夜露に当ると毒だからな」

「まあ、あなた、今からわたしのために夜露の心配までして下さるのね。いっそ、その夜露にぬれてみたいわ」

「ともかく、そろそろ出かけようではないか」

「ねえ、宇津木さん」

「何だ」

「誰も、人は来やしませんか」

「誰も、来やせぬ」

「高山の方から、待てといって追手のかかるような心配はございませんのね」

「それは絶対にない――」

と兵馬はきっぱり言い切って、こし方の飛騨の高山の方をそっと見返りましたが、なお、女のために、安心せしむる言葉をつけ足して、

「君は加州金沢の知辺のところへ身を落着ける、拙者は途中、相当の地点まで君を送って、それから白山に登る――ということで、高山の役向の了解を得た上に、手形切手のことも落なく取計らって来ているから、松本の時とも違い、中房の時とも違って、この通り、青天白日の