Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「そんなことをおっしゃらず、もう少し明るくして……光が届かなければ、わたしはあの牢へ近寄ってみましょう、できますことならば、あの牢の中に入って見てもよいと思います」
「足もとをよくごらんになっての上でね――」
と言われて、お雪ちゃんが足もとを見直すと、全身の血が一時に冷たくなりました。
同じ岩壁の中の遠近と見たのは、実はウソでした。あの牢屋のあるところと、自分たちの立っているところの間には、絶対的の岩角が相聳え立っていることにはじめて気がついたのです。
普通、山に於ての隔たりと言っても、谷と谷とを予想するのですが、つまり同じ日本中、同じ地上である限りは、山河渓谷の隔たりがあるとはいえ、河には橋、谷には桟を以てすれば、要するに地続きの実が現われるものですけれども、ここの懸崖というものはちょうど、地球と月世界との間の絶対と同じこと、下を見れば見るほど底の知れない断岸――
そうして、その裂け目の左右を見ると、先刻見た赤い空気の湖面がいっそう面積を拡大して、山脚はいよいよ押迫っている。山も、湖面も、今は全く蛍の光そのもの同様な蒼白なる光線が流れ渡っているのであります。