Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
と米友は、半身を蒲団から乗出して、その犬の声にすっかり執着するが、不破の関守氏は犬の吠える声よりも、その吠える声によって暗示される何者かの来訪、それにしきりに注意を傾けているようです。
だが、暫くして、犬の吠える声は全く止まり、鶏の鳴く声だけが連続して聞えました。犬の吠ゆるは非常をそそるけれども、鶏の鳴く音は、平和と、希望を表わすこと、いずこも変りません。
非常の示唆たる犬の警告が止んだのは、失火の静鎮から警鐘が鳴りをひそめたと同様で、つまり、何物か一応、外をうかがったものがあるにはあるが、この警告に怖れをなしたと見えて、直ちに引取って、危害区域外に立去ったから、この屋敷は安全地帯に置かれた。代って、平和の使徒が光明の先触れをしたまでの段取りで、かくて東天紅になり、満地が白々と明るくなりかけました。
不破の関守氏も朝寝坊の方ではないが、米友ときては、眼がさめたら、じっとしてはおられない。関守氏は、やおら起き出でて、筧の水で含嗽を試みようとする時、米友はすり抜けて、早くも庭と森の中へ身を彷徨させて、ちょっとその行方がわかりません。
山科の朝はしっとりと重くして、また何となく親しみの持てる秋でありました。