Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「おやおや、何か変なものが流れて来ますねえ」
ややあって、お角さんが湖上をながめてこう言いました。
「あれごらんなさい、あれはまだ新しい盃とはんだい――まあ、こちらの方から、女の帯が流れて来ますよう」
盃とはんだいと言っていた間はまだいいが、女の帯と言われて、一座がゾッとしました。
杯盤の流れたということは、いささか風流の響きもあるが、女の帯が流れたということに、何か一座の身の毛をよだてるような暗示があったらしい。そうして湖面を見て、その言う通りの酒器が浮び来ることは誰もそれを見たが、女の帯が流れているということを、舟の上の誰もがまだ気がつかない。酒器は水に浮ぶものだが、女の帯は必ずしも水に浮いて流れるとは限らない。帯によっては水に沈み勝ちでなければならないのをめざとくその一端を見つけて、帯、しかも女の帯と認定してしまったそれは、お角さんの勘と言わなければならない。
そこで、一座は、お角さんの勘を基調として一同に身の毛をよだてたのですが、帯を帯として認め得た者は、お角さんのほかには一人もありませんでした。
だが、そう言われて見ると、一筋の女の帯が暢揚として丈を延ばして、眼前に腹ばって、のして行く。