Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
酒井はまた一座を見廻して、
「申し遺すことなどもあらば、最後の思い出に書き給え」
彼等は紙と矢立を持っていました。
もはや、机竜之助の方は誰も相手にしなかった。竜之助が、こんなふうにつむじ曲りの人間であることは、この連中がもうよく呑込んでいるものと見えて、一旦は憤激してみたけれど、今は取合いませんでした。
竜之助は黙って、自分だけは遺書もしなければ辞世もつくらず、介錯をしてやろうとも言わず、もとより頼もうと言う者もありませんでした。
そのうちに、余の十人は、それぞれ辞世の詩歌、妻子へ申し遺すことなどを書いてしまいました。
水野善之助は、二の腕の創をよく結び直しながら、
「宮の御鎧に立つ所の矢七筋、御頬先二の御腕二箇所突かれさせ給ひて、血の流るること滝の如し」
朗々と太平記を口ずさむ、それを荷田重吉が引受けて、
「然れども立ちたる矢をも抜き給はず、流るる血をも拭ひ給はず、敷皮の上に立ちながら大盃を三度傾けさせ給へば、木寺相模、四尺三寸の太刀の鋒に敵の首をさし貫いて宮の御前に畏り……」
木村清太郎は長い刀を抜いてそこへ跳り出でて、
「戈剣戟を降らすこと電光の如くなり、盤石岩をとばすこと春の雨に相同じ、然りとはいへども天帝の身には近づかで、修羅かれがために破らると……」