Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
「その旗本というのは誰の邸」
「それは申し上げられませぬ、あとで申し上げる時節があるかも知れませぬが、今は申し上げられませぬ」
「それから?」
「島田先生も、大へん御機嫌がよくて、常よりは御酒も過ごしなされ、御料理もよくいただいて、さてその帰りでございます」
「その帰りに?」
「そのお邸でお乗物をと申されたのを、お断わりなすって、今宵はなんとなく心持が面白いから歩いて帰ると、いくらか微酔機嫌でもあったのでございましょう、伴をつれずに、たった一人で下谷の御徒町の方へお帰りになったのでございますよ」
「御徒町の道場へな」
「ちょうどその日に、わたしもまた同じお邸へ上ったものと思召せ、お女中にお花を教えたりしているところへ、島田先生が見えられたのでございます」
「なるほど」
「その日の正客は島田先生で、お相客も五六人ほどございました、女中たちはなかなか忙しそうだから、わたしのことゆえ、台所の方までも出向いて、差図のようなことやお手伝いのようなことをしていますと、お女中がお膳部を次の間まで持って行った時、そこの御主人が、まだ座敷へ出してはいかぬ、そこへ置けと女中たちに言いつけて、それから、島田の膳部はどれだどれだと念を押して尋ねていたのを、わたしが聞きましたが、やはりその時は何の気もつきませんでした」