Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

竜之助の眼はハッキリとこの子供を見ることができるのを、自分ながら不思議に堪えないで、

「もう、日も暮れる。さ、わしが送って行って上げる、お前の家はどこじゃ」

「坊には家がない……」

子供はしゃくり上げて言う。

「家がない? では、お父さんはどこにいる、父親は……」

「知らない……」

子供はやっぱり面を上げないのです。

「知らない? お母さんは、母親はどこにいる」

「知らない、知らない」

「はて、お前には、家もない、父も母もないのか」

竜之助は、この迷子を、どのように扱うてよいのか当惑して、空しく頭を撫でながら、

「坊や、では、どうしてお前はここへ来た、誰につれられてここへ来た」

「知らない……」

「困ったな、この夕暮に、この淋しいところへ子供をひとり捨て置いて……よしよし、拙者が里まで連れて行って上げよう、さ、おじさんに抱かれてみろ」

「いやだ、おじさんは怖い」

「怖い? 怖いことはありはせぬ、さあ、このおじさんが里まで抱いて行って上げる」

「いや! 坊は、おじさんは嫌いじゃ」

「嫌い? では誰がよいのじゃ」

「与八さんが好き。与八さんが来るまで坊は、ここに待っている」

「ナニ、与八さん?」