Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
お礼もろくろくに述べず、傘を受取ってまたも石段をめがけて上りはじめようとしたが、
「あの、もし、あなた様、この社の中で女の姿をお見かけになりませんでしたか」
「女の姿を?」
「はい、この室町屋の女房のお豊という女を」
「ああ、お豊どのならば」
「はい」
「さきほど、この石段を下へおりて行きました」
「石段を下へでございますか」
「いかにも」
「そんなら、行違いに家へ帰っておりはせんか」
金蔵は上りかけた足を石段から引いて、
「それでは、帰ってみましょう」
もと来た方へ引返して大急ぎで駈けて行きます。
兵馬は、そのあわただしさに笑いを禁じ得なかったが、そんなことは別に兵馬の気にかかることではない、気にかかるのはあの護摩壇のことだ――堂の傍へ近寄ると、中から修験者の声で、
「何者だ!」
と呼ばれたが、強いて土地の人が神聖と立てる修法を妨げるのもよくないと、帰っては来たが、なんとなくあの護摩壇に心が残るようだ。よし、改めて修験者に会ってみよう。
こう心をきめて室町屋まで帰って来ると、家は思いのほかヒッソリしていました。雨が降っているから、障子を立て通しにしてあったのをあけて入ると、帳場のわきに金蔵が苦り切って坐っている、その傍には番頭がピリピリして跪まっている。