Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
寂しさが身に沁みるように思われます。
「夕べ、あしたの鐘の声……なんだかお玉さんのようだねえ」
並木の蔭に立ち止まって、後ろを振返ったのは、片手に三味線を包んだ袋を抱えた、まだ年の若い女の子であります。
「どうしたのでしょう、呼んでみようかしら、お玉さあ――ん」
お玉さあ――んという声が並木の梢を伝って、田圃の方へ消えて行くと、また常明寺の鐘が鳴る。
「ほんとに、どうしたのでしょう、わたし淋しくなる、もう一度、呼んでみましょう」
二
古市を知るものは伊勢音頭を知る。間の山を知る者はお杉お玉を知らねばならぬ。
「お玉さあーん」
寒風の松並木のあたりで、連れの名を呼んでみた女の子は、申すまでもなくお杉でありました。
「あいよ」
女にしてはキッパリした声で、向うの闇の間から返事をして、駈足の気味でこちらへ来るのは、やっぱり同じ年頃の娘姿であって、小腋には同じように三味線の袋に入れたのを抱え、身なりもお対の黄八丈の大振袖で、異うのは頭に一文字の菅笠をいただいていることでありました。
「何をしていたの」
「草履が切れそうになったから」
お玉はお杉の立つところへ追いついてから、少し息を切って、それから二人は肩を並べながら、松並木を東へと歩んで行くのであります。