Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
辻番が拾ってくれた帛紗づつみを、手早く受取って懐ろへ捻じ込む。
「気をつけて歩かっしゃい」
辻番も、米友の挙動を合点ゆかないとは思ったが、出て来たところが老女の屋敷で、行先が伝通院ということに諒解を持ったものと見えて、跡を見送っただけである。一目散に両国橋の上を走り渡った宇治山田の米友が、
「往きて還らぬ死出の旅」
そこで、ピッタリと足をとどめて、
「さあ、わからなくなった、前と後ろがわからなくなっちまった、右と左もわからなくなっちまった」
宇治山田の米友は、両国橋の真ン中の欄干の前に突ッ立って、
「何が何だか、おいらの頭じゃわかりきれなくなった。来世というのはいったいどこにあるんだ。ナニ、魂だけが来世へ行く? さあ誰がその魂を見た、その魂が来世とやらへ行って何をしているんだ。ナニ、この世で苦労したものが来世で楽をする? 誰がそれを見て来たんだ、魂が来世へ行って何を働いているか、見届けて来た人があるなら教えてくれ、後生だから……今まで生きてたものが死んじまった、ただそれだけか。花は散りても春は咲く、鳥は古巣へ帰れども、往きて還らぬ死出の旅……今、それがひとごとじゃねえんだぞ、ほんとうに死んだ奴が一人あるんだぞ。