Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして七兵衛は、その昔、自分が青梅街道へ捨てた子供のことまで考え出して、いま、無事に育っていれば幾つになると、草鞋をつくる手を休めて、その指を折ってみたりなどしました。

無事に育って、日傭取かせぎでもいいから、こくめいに働いてさえくれればよい、間違っても、おれのように足が早く生れついてくれるなと心配しました。

非常な生活には、非常な警戒心が要るから、人を恋しがるような余裕は薄らぐのに、きょうはあたりまえのところへ置かれているから、あたりまえの人情が湧くと見えます。

「こんにちは……」

さいぜん、機音がやんだなと思ったら、いま、裏口に訪れたのは、その若い娘の声にちがいないと思いましたから、七兵衛が、

「はいはい」

膝の上の藁を払って立とうとすると、娘は早くも前の方へまわって来て、

「よく降りますね」

傘をさして、手には小笊を提げております。

「よく降るこってすね」

七兵衛も相槌を打ちますと、

「おじさん、お薯をふかしたから一つ持って来ましたよ」

「それはそれは」

七兵衛はおおよろこびで、娘のさしだした小笊を受取ると、中にはおさつのふかし立てが十ばかり湯気を立てています。