Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぐじんのどく

大雷雨夜の殺人 他8編

小酒井 不木

Lesen Sie 大雷雨夜の殺人 他8編 (ぐじんのどく) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.456 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

肩のあたりから、胸へかけての柔らかい曲線がいうにいえぬほど懐かしみを覚えさせて、思わずも鏡に接吻するのが常でした。といって、わたしは肉体的・生理的に不具なところはありませんが、異性に対しては何の感じも起きませんでした。わたしの美貌――自分で言うのは変ですけれど――を慕って、わたしに近づいてくる男はかなりに沢山ありましたけれど、わたしはただ冷笑をもって迎えるばかりでした。手を握らせることさえわたしは許しませんでした。たまたま他人の身体がわたしの身体に偶然触れるようなことがあっても、わたしは自分の身体に対して、激しい嫉妬を感じました。わたしは自分の容色を誇りました。しかし、それはただ自分の心を満足させるためでありまして、わたしは自分自身のためにわたしの容色が永遠に衰えないことを祈ったのであります。

ところが、いまから一年ばかり前に、わたしは神経衰弱にかかって一座を引退し、×××温泉にまいりました。それはちょうど夏のことでしたが、山中のこととていたって涼しく、わたしの宿は避暑客で賑わっておりました。一月ばかり滞在するうちに、すっかり神経衰弱はよくなり、わたしの身体には肉がついてきましていっそう美しくなり、したがって毎日鏡の前で過ごす時間がかなりに長くなりました。