Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅものがたり

天守物語

泉 鏡花

Lesen Sie 天守物語 (てんしゅものがたり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.593 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

決して人間の持ちものではありません。諸侯なんどというものが、思上った行過ぎな、あの、鷹を、ただ一人じめに自分のものと、つけ上りがしています。貴方はそうは思いませんか。

図書 (沈思す、間)美しく、気高い、そして計り知られぬ威のある、姫君。――貴方にはお答が出来かねます。

夫人 いえ、いえ、かどだてて言籠めるのではありません。私の申すことが、少しなりともお分りになりましたら、あのその筋道の分らない二三の丸、本丸、太閤丸、廓内、御家中の世間へなど、もうお帰りなさいますな。白銀、黄金、球、珊瑚、千石万石の知行より、私が身を捧げます。腹を切らせる殿様のかわりに、私の心を差上げます、私の生命を上げましょう。貴方お帰りなさいますな。

図書 迷いました、姫君。殿に金鉄の我が心も、波打つばかり悩乱をいたします。が、決心が出来ません。私は親にも聞きたし、師にも教えられたし、書もつにも聞かねばなりません。お暇を申上げます。

夫人 (歎息す)ああ、まだ貴方は、世の中に未練がある。それではお帰りなさいまし。(この時蝋燭を雪洞に)はい。

図書 途方に暮れつつ参ります。迷の多い人間を、あわれとばかり思召せ。