Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いきにんぎょう

天狗笑い

豊島 与志雄

Lesen Sie 天狗笑い (いきにんぎょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.400 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

お父さんは笑いました。

「それは、お前の方がばかだよ。風にさからってもつまらない。風というものは、強くなったり弱くなったり、息をついて吹くから、その中をまっすぐに歩くのはむずかしいよ。木の葉だって、まっすぐに落ちたり、ななめに吹きとばされたりしてるじゃないか」

硝子戸の外には、まだ風が吹いていました。庭のすみにある椎の木の古葉が、一つ二つ散っていました。風に吹かれて横にとんでるかと思うと、風がちょっと息をする間、まっすぐに落ちます。かと思うと、またさーっと風がきて、葉はひらひらと吹きとばされます……。

「風って、息をするんですか」とマサちゃんはいいました。

「うむ、息をするよ。息をするというより、風は息なんだよ」

「なんの息?」

「なんの息って……。どういったらいいかなあ、空気の息、神様の息、いろんなものの息……ただ息だよ」

「ただ、息だけ?」

「息だけだよ」

「ばかな奴だな」

お父さんは声たかく笑いました。マサちゃんもお母さんもいっしょに笑いました。

硝子戸の外には、椎の葉がときどき散っています。小鳥が鳴いています。夕方の赤い日が空にさしています。そして風は、息をついてはさーッさーッと吹いています……。