Japanische Klassiker mit Furigana
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たろうぼう
太郎坊
幸田 露伴
Lesen Sie 太郎坊 (たろうぼう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.863 Zeichen · 16 Bildschirme
かえって程好い運動になって身体の薬になるような気持がする。そして自分が水を与ったので庭の草木の勢いが善くなって生々として来る様子を見ると、また明日も水撒をしてやろうとおもうのさ。」
と云い了ってまた猪口を取り上げ、静に飲み乾して更に酌をさせた。
「その日に自分が為るだけの務めをしてしまってから、適宜の労働をして、湯に浴って、それから晩酌に一盃飲ると、同じ酒でも味が異うようだ。これを思うと労働ぐらい人を幸福にするものは無いかも知れないナ。ハハハハハ。」
と快げに笑った主人の面からは実に幸福が溢るるように見えた。
膳の上にあるのは有触れた鯵の塩焼だが、ただ穂蓼を置き合せたのに、ちょっと細君の心の味が見えていた。主人は箸を下して後、再び猪口を取り上げた。
「アア、酒も好い、下物も好い、お酌はお前だし、天下泰平という訳だな。アハハハハ。だがご馳走はこれっきりかナ。」
「オホホ、厭ですネエ、お戯謔なすっては。今鴫焼を拵えてあげます。」
と細君は主人が斜ならず機嫌のよいので自分も同じく胸が闊々とするのでもあろうか、極めて快活に気軽に答えた。多少は主人の気風に同化されているらしく見えた。