Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

いそいそとして、長風呂にはいり、退屈まぎれに、湯殿へやって来る浴客を掴まえては、世間話、その話の序でには、どこそこでよく効く灸をやっている、日蓮宗の施灸奉仕で、ありがたいことだ、げんにわたしもいま先……と、灸の話が出ることは必定……と、可哀想に長風呂でのぼせてしまう迷惑も考えずに、おれも随分罪な宣伝をやったものだが、これがまた莫迦に当ったのだ。

前後一週間のうちにいくら儲けたか、いま記憶はないが、大阪に残して来たお千鶴のもとへ、お前がひそかに為替をくんで送金してやったことだけは、さすがのこいつもお千鶴のことは気になると見える、存外殊勝なもんだと、その時感心しただけに、今もおぼえている。もっとも、その金は「売上げ」(とお前は言っていた、つまり収入だ)のなかから、内緒でくすねていたものらしいと、あとでわかった時は、興冷めしたが……。

とにかく、儲かった。お前は有頂天になり、

「もうおかね婆さんさえしっかり掴まえて置けば一財産出来ますぞ」

と、変に凄んだ声でおれに言い言いし、働きすぎて腰が抜けそうにだるいと言う婆さんの足腰を湯殿の中で揉んでやったり、晩食には酒の一本も振舞ってやったりして鄭重に扱っていたが、湯崎へ来てから丁度五日目、