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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.487 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

二

お竹の持っている「女の美」が、恐ろしく晩熟で、二十一歳になってようやく「処女性」を完成したのかも知れません。兎も角その日中橋南地の猿若座の桝に納まったどんな客の中にも、お竹ほどの輝やかしい存在はたった一人も無かったことは事実でした。

お竹はこの時を転機として、全く生れ変りました。もはや煤を被っても、脂と泥を塗っても、そして粗末な遠州縞のお仕着せ姿になっても、その汚なさの底に、ピカピカするもののあることを、誰も疑おうとはしなかったのです。

どうかしたら、そのわざとらしい汚なさや、痛々しい粗末な身扮りが、かえって変態的に好奇心を煽って、お竹を益々美しいもの、輝やかしいもの、そして魅力的なものにしてしまったのかもわかりません。

「御生だと口説かれお竹困る也」という古川柳――いやいやもっともっと冒涜的な夥しい川柳詩は、このごろのお竹、つまり大日如来に祭り上げられる以前のお竹の心境と、その美しさを詠んだものでしょう。

二

お竹の美しさはその容貌ばかりでなく、その心栄えにあったことは、武江年表第二巻寛永年間記事に――「朝夕の飯米菜蔬、我食うべきものをこじきに施こし、その身は主家の残れると、または流しの隅に網を釣りてたまりし物を食し、常に称名怠たる事なし」