Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.487 Zeichen · 19 Bildschirme
フィナーレ
「いいか」
「え」
「じゃ出かけよう。路用はたんとはねえが、貰い溜めが十両ばかりある。これだけあれば俺が在所の信州までは楽な旅が出来るだろう――白無垢は其処へ突っ込んで行くがいい――如来様の夜逃げだ。どんな智慧者の玄沢坊も、これを表向きにして、追手をかけるわけには行くめえ。江戸の町さえ離れれば、あとは遊山旅だ」
「宇太松どん」
「行こうよ、お竹さん、信州へ行ったら、正直正銘の人間になって、大飯を食ってうんと働いて誰に遠慮もなく暮そうよ」
「嬉しいよ、宇太松どん」
二人は暫く闇の中に、後も前も忘れて手を握り合って居りました。
フィナーレ
「これで私の話は終りました。お竹は憑依妄想の患者ではなく、この上もなく善良で、この上もなく忠誠な奉公人だったのです。お竹如来と宇太松の逐電は、主人の佐久間勘解由は言うまでもなく、玄沢坊をひどく落胆させましたが、まさか生身の如来様に追手をかけるわけにもいかず――お竹大日如来は、不意に湯殿山に帰られた――ということにして、一応は世間を胡麻化しました。
さて、今の人々が聞いたら、さぞくすぐったい思いでしょうが、昔の人はこんな甘口な迷信に何んの詮索もせずに易々と引っ掛ったのです。