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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.177 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

「深沢君、紹介したまえ、――こんな素晴らしい歌い手を発見するということは、そうザラに転がっている幸運ではない。私はまさにジェニー・リンドを発見したのだ」

左近倉平の調子は、大袈裟で歯を浮かせます。こんな調子には馴れている深沢深は、さして驚いたわけではありませんが、唯自分一人の胸に秘めて、やがての日を楽しみにしている許婚を、評判のよくない先生に発見されたのは、まことに不愉快なことでしたが、今更それを、どうすることも出来なかったのです。

「三室銀子さんといいます、――僕のフィアンセです。こちらは左近先生」

深沢深は、所有権の確立のために、こうはっきり断ったのでした。

「ホウ、それは羨ましいな、――だが、用心し給えよ、僕が横取りするかも知れないから――ハッハッハッ、失礼、失礼、三室さんそれは冗談です。怒っちゃいけませんよ」

左近倉平はからからと笑ったりするのです。この取って附けたような無造作らしさが、妙に若い女の好奇心を掴むのでしょう。

「どうぞ宜しく」

三室銀子はそれを気にする様子も無く、丁寧に挨拶するのを見ると、深沢深はいやな心持になってそっぽを向いてしまいました。