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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.681 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

四

四

伊予守忠弘は、こうして禁断の果実を味わったのです。忠弘には絹姫という従兄妹同士の許婚があり、朝夕顔を合わせておりますが、絹姫の絵に描いたような端麗な美しさも、取済したお行儀のよさも、学問諸芸の並々ならぬたしなみも、最早興味をひく対象ではなく、忠弘はその日から、芳江の情熱と野性と、そして不思議な聡明さに魅了されて、白日の夢を追う痴漢になり切ってしまったのです。

父の左近太夫は中風で生ける屍も同様、やかましやの老臣朝倉忠左衛門は火事の時死んで、高力の江戸屋敷に最早や若殿忠弘を押える者はありません。

若殿は無事御帰還の騒ぎが一段落になった三日目、

「命の恩人を捜すのだから」

という名義で、忠弘は心ききたる家臣を深川八幡前の家へやって見ました。が、待ちに待ったその復命は、まことにもって予想外だったのです。

「恐れながら申上げます。深川八幡前の、御申付の家に参り、お鳥と申す女に逢いました。賃仕事などをして細々とその日その日を送っている後家だと申すことでございます――が」

「そんな事はどうでもよい、そのお鳥の家に芳江と申す姪が居る筈だが」

「それがおりません」

「何んと申す」