Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.954 Zeichen · 24 Bildschirme
偶像破壊の大きな嵐の意味が、潮水に洗われて、浅ましくも金箔の剥げた仏像を前にして、綾麿にも次第に解ってくるような気がしたのです。
「だが、その焼かれる百体の御仏の中から、一体を選んで救い出した、この私の小さい仕事にも、何んかの意味が無いとはいえない。それはそれでいいとして、私はそのために、香折との此世の契を忘れたわけでは無い。人間には人間の営みがあり、現身には現身の暮し方がある。祝言の席から飛出したのは彫物師の私が、幼な馴染の観音様――世にも優れた彫物の一つを救いたさに、気が顛倒したのだと勘弁してくれ、――その証拠には明日の日も待たず、今夜のうちにも、この劫火の中からお救い申した観音様は、駒形の庵室に持って行って、庵主の浄庵さんに供養をお願いしよう、――私はもう観音様に未練があるわけではない、それで承知してくれるか香折」
綾麿の言葉はこれで了りました。母親も友吉も、呑込み兼ねた様子で黙りこくって居りましたが、
「綾麿さん、堪忍して下さい、私が悪う御座いました。観音様に嫉妬を焼いたりして、本当に極りが悪い」
幼な馴染の昔に返って、香折は何んの遠慮もなくこういうのでした。