Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.954 Zeichen · 24 Bildschirme
フィナーレ
「それでは香折、堪忍してくれるか」
「勘弁は私の方からお願いすることです。それより観音様の前で――」
「面白いな、観音様の前で夫婦の固めの盃をしよう。友吉兄哥は仲人だ――観音様はまさか嫉妬などはお焼きなさるまい」
「まア」
母親もツイ笑いました。
「灯をもっと殖やせ、観音様も笑って御座るよ。ちと剥げちょろになったが、木地が見えると金箔の時よりは不思議に明るく温かにおなりだ」
「よし来た、――それじゃ、高砂やアとやるぜ」
まさにそれは相馬の古御所の一カットでした。でも貧しく幸せな祝言は、こうして名作天狗長兵衛の観音様の前に営まれたのです。
フィナーレ
「私の話はこれで終りました。天狗長兵衛の観音様は、其後何処へ行ったかわかりませんが、せめて優れた芸術品を五体でも六体でも此世に遺した、高村光雲先生と、牙彫師南郷綾麿の手柄は小さくありません。
しかし大きく廻る時代の歯車には、何物を以てしても反抗しようの無いことも事実です。幾度かの偶像破壊時代を経ても、残るものは残ります。それが自然の力であるか、人間の力であるか、兎も角も時代の侵蝕を受けつつも、救世観音も百済観音も如意輪観音も吾輩の前に残っているのです。