Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.447 Zeichen · 21 Bildschirme
相寄る心
しかし夢から醒めた虚脱状態が続くと、三日目の大寿院訪問をして居りました。
有金を全部大寿院に注ぎ込むと、今度は朋輩から借り集め、それも八方塞がりになると、次には身の廻りの物を売り始めました。一回の祈祷料五両、それだけの大金を出すのは、五人扶持の村松金之助に取って全く容易なことではありません。
最後に、浅葱色の袷一枚と小倉の袴が一着だけ残った時、村松金之助は組頭に呼出されました、そして「勤め向宜しからざる儀有之」という条件で、永の暇になったのです。
村松金之助は藩中の朋輩達に後ろ指を差され乍ら、トボトボと鉄砲洲の屋敷を引払いました。差して行く当てもなく、素より懐中には一文の貯えもありません。
金之助の足は自然に山の宿に向かいましたが、こうなってはもう大寿院も相手にしてくれる筈もなく、行く先は手近の隅田川の底より外には無くなってしまいましたが金之助にはまだ一つ、大それた望――死ぬ前にもう一度京姫の顔が見度いという望があったのです。
相寄る心
それから幾日か過ぎました。江戸はすっかり青葉と鰹とほととぎすの季節になり切った頃、京姫の上にも、いよいよ淡路守の娘分として、因州鳥取三十二万石の城主、松平相模守に嫁ぐ日は廻って来たのです。