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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.447 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

将軍の末の娘

例えば、

「御指名によって、先ず私が前座を勤めます。題して“夢幻の恋”完備で濃艶で、まことに怪しからぬ話では御座います。これは私の秘蔵の種で、いずれ三百枚位の中篇に纏めて、うんと原稿料を稼ごうと思って居りましたが、こう首の座に直っては、今さらケチな根性を出しても居られません。悉く皆様の前で御披露してしまいます。今晩お集りになった方はまことにお幸せで――」

斯んな具合――少し調子づいた下品さで始めるのでした。

将軍の末の娘

因州新田の領主で一万五千石、松平淡路守清直の鉄砲洲十間町の上屋敷には、新たに造営した一角の女御殿があって、其処に玉の如き姫君――京姫というのを住ませて置きました。

その新御殿の棟の上には、時に紫の雲が棚引くと言われるほど――そんな馬鹿なことは今の人間には信じられないことですが――兎に角京姫の美しさは大変な評判でした。従って淡路守の寵愛もひと入で、掌中の珠と言おうか、簪の花と言おうか、言葉も形容も絶した扱い振りです。

尤も、それには事情のあることで、打ち明けて言うと京姫は淡路守の真の子ではなく、それは十一代将軍徳川家斉の末の娘で淡路守の本家、因州鳥取三十二万五千石の城主、松平相模守慶徳に嫁合わせるため、淡路守を仮親として、暫く此処で育てて居るのでした。