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Japanische Klassiker mit Furigana

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きぐう

奇遇

芥川 竜之介

Lesen Sie 奇遇 (きぐう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.238 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

僕はその女を見た時ほど、女の美しさを感じた事はない。」

「有美閨房秀 天人謫降来かね。」

趙生は微笑しながら、さっき王生が見せた会真詩の冒頭の二句を口ずさんだ。

「まあ、そんなものだ。」

話したいと云った癖に、王生はそう答えたぎり、いつまでも口を噤んでいる。趙生はとうとう待兼ねたように、そっと王生の膝を突いた。

「それからどうしたのだ?」

「それから一しょに話をした。」

「話をしてから?」

「女が玉簫を吹いて聞かせた。曲は落梅風だったと思うが、――」

「それぎりかい?」

「それがすむとまた話をした。」

「それから?」

「それから急に眼がさめた。眼がさめて見るとさっきの通り、僕は舟の中に眠っている。艙の外は見渡す限り、茫々とした月夜の水ばかりだ。その時の寂しさは話した所が、天下にわかるものは一人もあるまい。

「それ以来僕の心の中では、始終あの女の事を思っている。するとまた金陵へ帰ってからも、不思議に毎晩眠りさえすれば、必ずあの家が夢に見える。しかも一昨日の晩なぞは、僕が女に水晶の双魚の扇墜を贈ったら、女は僕に紫金碧甸の指環を抜いて渡してくれた。と思って眼がさめると、扇墜が見えなくなった代りに、いつか僕の枕もとには、この指環が一つ抜き捨ててある。