Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
五十二三になる肥えた体つきで、おっとりしているが感じ易い気性とみえ、明くる日おなつから詳しく身の上を聞きながら、しきりに涙をこぼした。
「そんなふうでは帰ってゆく親類もないでしょうね、そんな金をお借りなさるようではねえ、本当になんということでしょう」
そして涙を拭いては頷ずいた。
「ようございます、こうなるのもなにかの御縁でしょう、あたしから旦那さまにお願いして、どうにか身のふりかたを考えていただきましょう、なにか御思案があるでしょうから」
しかしそのときもう伊代の気持は定っていたらしい、精之助の意見で、暫くこの家で面倒をみる、そのあいだ伊代のてつだいのつもりで働いて貰いたい、そういうことだった。そして伊代の居間の隣りに部屋をきめ、まにあわせだといって、着物や帯や髪道具などまで、ひと揃え出して呉れた。
「誰か若いひとが欲しいと思っていたのだけれど、旦那さまが――まだ御結婚まえだからでしょうか――それは困ると仰しゃるので、これまで不自由をがまんしてきたんですよ。おかげであたしも少し気が楽になれます」
伊代はこう云ったが、しかしそれとなくおなつの起居動作に眼をくばっているようすだった。