Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぎりきぬ

契りきぬ

山本 周五郎

Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

――風呂へはいってまもなく妻女がそれとなく自分の肢体を眺めるのにおなつは気がついた。それは単純な視線ではない、なにかしらさぐるような、ためすようなものが直感された。

「さあ、こんどはわたくしがながしてあげましょう」

「いいえそんな勿体のうございますから」

「遠慮はいりませんよ、さあいらっしゃい、いいからそちらへお向きなさいな」

半ば無理やりに背へまわった。

「あなたはお体もいいし、お肌もきめがこまかくてお美しいのね、病気なんぞなすったことはないでしょ、――ほら、こんなにすべすべして、かたちよく緊っていて、……にくらしいようね」

どういうわけであろう、そのとき急におなつは喉が詰り、激しくこみあげてくる嗚咽を止めることができなかった。

「おやどうなすって、あなた泣いていらっしゃるの」

三枝夫人はびっくりしたのだろう、手を放してこちらを覗いた。その声でおなつは自分のとつぜんな感動の意味がわかった。――彼女は恥かしさのあまり両手で顔を押え、なお啜りあげながらきれぎれに答えた。

「おゆるし下さいまし、わたくし、こんなにして頂くのは、初めてでございますの――あんまりうれしゅうございまして……」