Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
聞えてきた。
紅葉のさかりが過ぎ、客がめっきり少なくなった。おてつは今年は来ないそうだ。どうやら亭主のような者ができたらしい。そんなことをいねが云った。――それからつい二三日してのことであるが、いっしょに湯へはいったとき、いねがおなつの体を見てちょっと首をかしげるようにしながら「あんたあれじゃないの」こう云って、また胸乳のあたりを見た。
「おかしいわよ、ずっと順調にあるの」
おなつはどきっとした。手拭で胸を掩いながら、恥かしさと不安のために身を縮めた。そして問われるままに、北原の家を出てからずっとそれがなかったこと、自分ではただ単純な変調だと思っていたことを語った。
「それじゃたいていまちがいはないね、いちどみて貰うほうがいいわよ」
いねはこう云ったあとで、もしそうと定まったらよく考えて、始末するなら早いほうがよい、と、さりげない調子で云った。――それから数日して、いねの古い知己だという産婆が来た。まだ四十そこそこの、ひどくてきぱきした女だったが、ひととおりみたのち慥かに身ごもっていると云った。
「いいえよくあることですよ、ひと晩きりだからってちっとも珍しいことじゃありませんよ」