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Japanische Klassiker mit Furigana

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おくさんのいえで

奥さんの家出

国枝 史郎

Lesen Sie 奥さんの家出 (おくさんのいえで) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.851 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

一

一

年増女の美しさは、八月の肌を持っているからだ。

ああ小径には凋るる花

残んの芳香を上げている。

「よろしゅうございます、お話ししましょう。が、それ前に標語を一つ、お話しすることにいたしましょう。

『心にゴロン棒の意気を蔵し、顔に紳士の仮面をくっつけ、チャップリンの足どりで歩いたら、人生めったに行き詰まらない』と。……私のための標語なので。……で、お話しいたしましょう。聞いて下さるでしょうね、お嬢さん。……あッ、それ前にもう一つ、勿論貴女はお嬢さんでしょうね。……で、お嬢さん、お聞き下さい、構いませんとも、お話ししますとも。……つまり何んです、何んでもないので、彼女――私の奥さんですが、家出をして了ったのでございますよ……」

×

「二銭!」

「はい」

二銭を出し、私は遊園地の木戸をくぐった。約一間歩いたらしい。と、ちっちゃい木橋があった。幅三尺、長さ五尺、川には水なんか流れていない。でも矢っ張り渡らなければならない。

左はお城の崖である。晩春の草が靡いている。笹がひそかに音立てている。黄色い花! たんぽぽである。

少し行くと二対の鞦韆! 女中さんが子供を乗せている。