Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなとぼうし
女と帽子
豊島 与志雄
Lesen Sie 女と帽子 (おんなとぼうし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.614 Zeichen · 33 Bildschirme
けれど、心の底では、単なる同郷人だけではありませんでした。その、何というか、あの時よりずっと前から、赤ん坊の時から、よく知り合ってるというような親しみの気持が、次第に大きくなってきました。今村さんに久しぶりで逢ってみると、私の方が余り変ったせいか、少しも変っていないような気がしましたばかりか、背丈が少し小さくなった――そんな筈はありませんが――でもそういう気がしました。それがなお、親しみの気持を助けたのかも知れません。その気持の中にぽつりと、あの燈籠流しの晩のことが、孤立して、夢のように浮んでいました。全く夢のように杳かなものでした。
それに、私は賑かなことが好きでした。酒に酔うようになったり、芸者衆と近づきになったりしますと、愛情なんてもの、ばかくさくなってきます。政党の或る有力者を旦那にもってる芸者がありましたが、政府筋の局長級の人と実業家と旦那と三人で、よく密談などに来てるうちに、その芸者は旦那と別れて実業家の方になびいてしまい、そのいきさつが、何千円かの小切手だったと、笑いながら私に打明け話をしました。芸者でなくとも、女は大抵、男から見れば、享楽の道具で、物品と同じではありませんかしら。