Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじんぶつ
好人物
佐々木 邦
Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme
と安子夫人がスリッパを薦める間に、お里はもう揚げ板を上げて清君を麾いた。
「やあ、沢山いる。好いなあ!」
と清君は床下へり込まないばかりに覗き込む。
「まあ、可愛いこと! お乳を飲みたがって押し合っていますわ。随分生んだものでございますわね」
とお母さんも感心している。
「七匹いますのよ。些っとあやかりたいくらいですわ」
と安子さんは満更冗談ばかりでない。
「その親の頸の畜犬票が安産のお守りになるんでございますってね。私も初産の時、親戚から戴きましたわ」
「まあ、然うでございますの? 道理で一遍盗まれましたわ。取って持って行くところをこのお里が見つけたのでございますよ。けれども安産のお守りでは仕方ありませんわ」
「然うね。お授かりになってからのお話でございますからね。けれどもお守りはこの通りお手のものですから、精々おあやかりなさいませよ」
「オホヽヽ、一度に三人も産みましょうか」
「お母さん、僕のは何れ?」
と頻りに床下を物色していた清君が訊いた。
「何れでもお好きなのを差上げますよ。一番の先口さんですから、択り取り見取りでございますわ」
と安子夫人は又頻りにくれたがる。