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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme

Aozora Bunko

強敵

「まあ/\」

強敵

昨日の打ち合せに従って、内藤夫人は朝の九時頃安子夫人を訪れた。唯一軒主人の為めに義理を果すのに三日も往復する。御念の入った話だけれど、交際だから仕方がない。しかし年外年中家事に縛られている主婦は斯ういう内助の機会を利用して外出する必要がある。自分としては気散じになり、衣裳としては虫干しになる。内藤夫人がこの三日間あれやこれやと余所行きを出し入れしたことは言うまでもない。安子夫人に於ても朝から示威運動に丹精を凝らして待っていた。婦人は生れながらにして男子よりも趣味が甲羅を経ている。単調を忌み変化を喜ぶから、昨日と全く同じ服装で同じ人に顔を合せるのは一種の非礼と心得ている。

この故に内藤夫人は、

「奥さま、今日は瘤つきで上りましたのよ」

と子供をつれて来た申訳をしながらも、もう安子さんの羽織と帯が昨日のでないことに気がついた。

「まあ。坊ちゃん、よくお出になりましたのね。さあ、何うぞお上り下さい」

と安子さんは注意を奥さんと清君に等分したけれど、相手の身のまわりを悉皆見て取って、疑問としたところは唯羽織の紐丈けだった。昨日の品のようにも見え、あれはもう少し鎖が細かったようにも考えられた。