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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme

Aozora Bunko

「清坊や、そんなに手を出すと親に食いつかれますよ」

とお母さんは注意して、

「奥さま、お宅のお台所は使い勝手が好く出来て居りますのね」

と周囲を見廻す。

「いゝえ、この通り狭くて不自由しているんでございますよ。前触れもなしにお米を二俵なんて持ち込まれますと、身動きも出来ませんのよ。オホヽヽ」

「宅だって同じことですわ。物置が洩りますから、未だに台所に転がしてありますのよ」

「忌々しいわね。今日は庄内米のお礼まで申上げなければなりませんわ」

「でも奥さまはお米で儲けていらっしゃるんだから宜いわ。私こそ一文にもなりませんのに馬鹿々々しいのよ」

「私、少し人が悪いんでしょうかね?」

「少しどころか大変お悪いんですわ」

「まあ、ひどいこと!」

「オホヽヽ。まあ/\、ついうか/\と又お喋りを始めましたよ。清坊や、もう宜いでしょう? 有難うを仰有い。然う/\」

「何う致しまして」

とお里は恐縮する。

「真正に有難うございました。奥さま、ソロ/\お供致しましょう」

「それではお約束ですから最早お止め致しません。余りお忽々でございますわね」

と安子夫人は納得した。

一時間ばかりすると、両夫人は清君と例の猿虎蛇を携えて橋口家の玄関に現れた。