Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つまのざ

妻の座

壺井 栄

Lesen Sie 妻の座 (つまのざ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 82.695 Zeichen · 165 Bildschirme

Aozora Bunko

「お母さんもよく気が立つようになったね。」

「こわいわね。脳貧血でまだよかったけれど、溢血の方だったら今ごろ中風よ。おおこわい。」

「できるだけ気を立てさせんようにしてあげようね。そしてなるべく正子がそばにいるんだね。」

それはあきらかに閑子を邪魔がっている言葉だった。ミネはふとんの中で眠ったふりをしていた。こんなに案じてくれる人が閑子にはいないのだと思うと、閑子が哀れでならなかった。閑子はひとり台所にいて、食欲のないミネのために料理をつくっているのだろうに。ミネがうまがるとほっとした顔になり、食べぬとあらわな不安をみなぎらせる閑子、ところが閑子はそれを言葉にはしない。口をついて出るのはミネの心をゆすぶる皮肉や自己卑下ばかりだった。

「どうも私は姉さんの病気のもとのような気がするの。申しわけないからどこかへゆくつもりだけれど、今は困るでしょう。病気がよくなるまで下女代りに置いてもらうことにするわ。」

くちびるをふるわせながらいったりする。どんなにかそれは悲しく、口惜しい思いだろうと、ミネもまた切なくなる。

暑さに弱いたちのミネは夏中をわずらって、ようやく起き出したのは涼風がそろそろ身にしみはじめる頃だった。