Japanische Klassiker mit Furigana
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こどもはかなしみをしらず
子供は悲しみを知らず
小川 未明
Lesen Sie 子供は悲しみを知らず (こどもはかなしみをしらず) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.134 Zeichen · 7 Bildschirme
「まだお便りがありませんか。もう帰るものは、たいてい帰ったようにききますが。」
おしょうさんは、もとの座へもどりました。
「うちのせがれは、死んだものと、あきらめています。」と、地主は、こう答えて、さすがにさびしそうでありました。
「いつ亡くなられたものかの。」
おしょうさんは、声を低く落としました。
「なんでも、南へいった舟は、およそ途中でやられたという話で」
「いや、こんどの戦争では、お気の毒な方が、どれほどいるかしれません。なんにしても、戦争ばかりは、地獄にまさる、この世の地獄ですぞ。」と、おしょうさんは、ため息をもらして、瞑目しました。このとき地主のついでくれた茶をすすって、またおしょうさんは、じっと考えていました。庭の木立で、あぶらぜみの鳴く声がします。
先刻から、おしょうさんが、なんで立ち寄ったろうかと思ったのが、ほぼ察せられると、地主は、先手を打つつもりで、
「なにしろ頼みとするせがれでしたので、量見がせまいようですが、当分他人さまのためにどうこうする気持ちも起こりません。」といいました。
「ごもっとものことです。ご存じのごとく、資力のない私どもに、人を助ける資格はありませんが、ほかでない、両親をなくした、子供の身を考えますと、だれも世話をするものがなければ、自分がしなくてはという気でやったものの、皆