Japanische Klassiker mit Furigana
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こどもはかなしみをしらず
子供は悲しみを知らず
小川 未明
Lesen Sie 子供は悲しみを知らず (こどもはかなしみをしらず) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.134 Zeichen · 7 Bildschirme
広い庭には、かきが赤くみのっていました。かきねの破れを直して、主人は、いま縁側へ腰を下ろし、つかれを休めていたのです。彼はこのあたりの地主でした。
裏門から、寺のおしょうさんが、にこにこしながら、入ってくるのを見ると、ちょっと迷惑そうな顔色をしたが、すぐ笑いにまぎらして、丁寧に迎えました。
「あまりごぶさたをしたので、前を通りかかったものだから。」と、おしょうさんは、いいました。
「どうぞ、すこしお上がりください。」
地主は、おしょうさんを、茶の間へ通しました。
「おお、ここのにわとりは、ねこを追いかけるな。」と、土間の方を見て、おしょうさんは、さもおどろいたように、大きな声でいいました。
「このあいだ、卵を産んだので、魚の骨をやりましたら、ねこの分まで、自分のものと思い、しようのないやつです。」
「ほ、ほう、なるほどしつけは、怖ろしいもんだな。教育のしかたで、いい子も、わるくなるから。」と、あとのほうを、おしょうさんは、ひとりごとのようにいって、立ち上がりました。そして、仏壇の前へすわり、静かにかねをたたき、お念仏を唱えたのです。そこには、軍服姿をした若者の写真が飾られ、お供え物が上がっていました。