Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのしょくぶつちょう
季節の植物帳
佐左木 俊郎
Lesen Sie 季節の植物帳 (きせつのしょくぶつちょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.671 Zeichen · 10 Bildschirme
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深い香りの花です。本当に深い香りを漂わせる花です。それが燥ぎきった空気の中を遠くまで流れて行きます。小鳥も人間も、この香りに花の在所へと誘われるのです。鼻の感覚の鈍くなったお爺さんもです。
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梅の花の香りの流れているところは、きっと、それは人里です。梅の樹のないところには、その土地に住みなれたお爺さんもいなければ、人のいないところには梅の花も咲かないのです。梅の樹はどこまでも人なつこい木です。いや人間が梅の木につきまとうのかも知れません。路に迷った旅人が、ほっと胸を撫で下ろすのも梅の香りです。それだけ梅の木は人間と密接で、人の世の古い歴史をひそめているのです。
睡蓮
睡蓮は本当に可憐な花です。孤独の淋しさを悩む無口な少女のように哀れっぽい花です。総ての悩みも悲しみも、苦しみも悶えも、胸に秘めて、ただ鬱々と一人哀しきもの思いに沈むというような可憐な表情を持つ花です。その可憐な表情こそ、睡蓮の花の私達の心を惹いてやまないところです。
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寂しい睡蓮の花は、淋しい情景の中に咲いてこそ、その哀愁的美、詩的情緒が私達の胸にぴったりうつって来るのです。