Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme

Aozora Bunko

夕暮の薄暗い光線のせいではあったが、私は生れてから、あんな醜怪な老婆を見たことがなかった。背が低い上に、肉が垂れ下る程もデブデブ肥え太っていて、その上傴僂で、背中に小山の様な瘤があるのだ。顔はと云うと、皺だらけの渋紙色の中に、お玉じゃくしの恰好をした、キョロンとした目が飛出し、唇が当り前でないと見えて、長い黄色い乱杭歯が、いつでも現われている。その癖上歯は一本もないらしく、口を塞ぐと、顔が提灯の様に不気味に縮まってしまうのだ。

「誰だえ」

老婆は、私達の方をすかして見て、怒った様な声で尋ねた。

「僕ですよ。道雄ですよ」

諸戸が顔をつき出して見せると、老婆はじっと見ていたが、諸戸を認めると、びっくりして、頓狂な声を出した。

「オヤ、道かえ。よくまあお前帰って来たね。あたしゃもう、一生帰らないのかと思っていたよ。そして、そこの人はえ」

「これ、僕の友達です。久し振りで家の様子が見たくなったものですから、友達と一緒に、はるばるやって来たんですよ。丈五郎さんは?」

「マアお前、丈五郎さんだなんて。お父つぁんじゃないか。お父つぁんとお云いよ」

この醜怪な老婆は諸戸の母親だった。