Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
影武者
「アア、恐ろしい。まさかまさかと思っていたことが本当だったのだ。もう愈々おしまいだ」
「やっぱり、僕達が疑っていた通りだったの」
私は声を低めて尋ねて見た。
「そうだよ。そして、もっとひどい事さえあったのだよ」
諸戸は土色の顔を歪めて、悲しげに云った。私は、色々とかれの所謂「もっとひどい事」について尋ねたけれど、彼はそれ以上何も云わなかった。ただ、
「明日はキッパリと断ってやる。そうすれば愈々破裂だ。蓑浦君、僕は君の味方だよ。力を協せて悪魔と戦おうよ。ね、戦おうよ」
と云って、手を延ばして私の手首を握りしめるのだった。だが、勇ましい言葉に引きかえて、彼の姿の何とみじめであったことか。無理もない、彼は実の父親を悪魔と呼び、敵に廻して戦おうとしているのだ。やつれもしよう。青ざめもしよう。私は慰める言葉もなく、僅かに彼の手を握り返して、千万の言葉にかえた。
影武者
その翌日とうとう恐ろしい破滅が来た。
お昼過ぎ、私が独で唖の女中の御給仕で(これが秀ちゃんの日記にあったおとしさんだ)御飯をすませても、諸戸が父親の部屋から帰って来ぬので、独で考えていても気が滅入るばかりだものだから、食後の散歩旁々、私は又しても土蔵の裏手へ秀ちゃんと目の話をしに出掛けた。