Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
ねえ、蓑浦君、せめてそれ丈けの……」
私は強情に押黙っていた。だが、かき口説きながら、頬に流れる諸戸の涙を見ている内に、私も亦まぶたの間に熱いものが、もり上って来るのをどうすることも出来なくなってしまった。
私の気まぐれな下宿生活は、この事件を境にして、中止された。あながち諸戸に嫌悪を感じたのではなかったが、二人の間に醸された妙な気拙さや、内気な私の羞恥心が、私をその下宿にいたたまれなくしたのである。
それにしても、理解し難きは諸戸道雄の心持であった。彼はその後も彼の異様な恋情を棄てなかったばかりか、それは月日がたつに従って、愈々濃かに、愈々深くなりまさるかと思われた。そして、会々逢う機会があれば、それとなく会話の間に、多くの場合は、世にためしなき恋文の内に、彼の切ない思いをかき口説くのであった。しかもそれが私の二十五歳の当時までも続いていたというのは、余りにも理解し難き彼の心持ではなかったか。仮令、私のなめらかな頬に少年のおもかげが失せなかったにもしろ、私の筋肉が世の大人達のように発達せず、婦女子の如く艶かであったにもしろ。
そういう彼が、突如として、人もあろうに私の恋人に求婚したというのは、私に取って、甚だしい驚きであった。