Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme

Aozora Bunko

その白いものは、よく見ると諸戸ではなくて、懐しい双生児の秀ちゃんの顔らしかったが、それが、闇の中でも、何となく悲しげに打沈んでいるのが察しられた。秀ちゃんは已に諸戸から委細のことを聞知ったのであろうか。

紙つぶてを拡げて見ると、薄闇の中でも読める様に、大きな字の鉛筆書きで、簡単にこんなことが記してあった。云うまでもなく諸戸の筆蹟である。

「今は何も考えられぬ。明日もう一度来て下さい」

それを読んで、私は黯然とした。諸戸は彼の父親ののっぴきならぬ罪状を聞かされて、どんなにか驚き悲しんだことであろう。私と顔を合わせることさえ避けて、秀ちゃんに紙つぶてを投げさせたのを見ても、彼の気持が分るのだ。

私は、土蔵の窓からじっと、私の方を見つめているらしいボンヤリと白い秀ちゃんの顔に、うなずいて見せて、夕闇の中を、トボトボと徳さんの小屋に帰った。そして、燈火もつけず、獣の様に、ゴロリと横になったまま、何を考えるともなく考えつづけていた。

翌日の夕方、土蔵の下へ行って合図をすると、今度は諸戸の顔が現われて、左の様な文句を認めた紙切れをひょいと投げてよこした。

「こんなになった私を見捨てないで、色々苦労をしてくれたのは、感謝の言葉もない。