Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
巾は一間以上もあって、昔風に赤茶けた畳が敷いてある。屋根の深い窓の少い古風な建物なので、廊下は夕方の様に薄暗かった。
私がその廊下へヒョイと曲った時、私と同時に、やっぱり向うの端に現われたものがあった。それが恐ろしい勢で、もつれ合いながら私の方へ走って来るのだ。余り変な恰好をしているので、私は急にはその正体が分らなんだが、そのものが、見る見る私に接近して、私にぶっつかり妙な叫声をたてた時、初めて私は双生児の秀ちゃんと吉ちゃんであることを悟った。
彼等はボロボロになった布切を身に纏い、秀ちゃんは簡単に髪をうしろで結んでいたが、吉ちゃんの方は、時々は散髪をして貰うのか、百日鬘の様な不気味な頭であった。二人共檻禁を解かれたことを、無性に喜んで、子供の様に踊っていた。私の前で、私の方に笑いかけながら、踊り狂う二人を見ていると、妙な形の獣みたいな感じがした。
私は知らぬ間に秀ちゃんの手を掴んでいた。秀ちゃんの方でも、無邪気に笑いかけながら、懐かし相に私の手を握り返していた。あんな境遇にいながら、秀ちゃんの爪が綺麗に切ってあったのが、非常にいい感じを与えた。