Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
「お前達、ひどく弱っている塩梅だね。腹が減っているんじゃないかね。それなら、ここにわしの食い残りがあるから、たべなさるがいい。食い物の心配は要らないよ、ここには大蟹がウジャウジャいるんだからね」
徳さんが、どうして生きていたかと、不審に耐えなんだが、成程、彼は蟹の生肉で飢をいやしていたのだ。私達はそれを徳さんに貰って、たべた。冷くドロドロした、塩っぱい寒天みたいなものだったが、実にうまかった。私はあとにも先にも、あんなうまい物をたべたことがない。
私達は徳さんにせがんで、更らに幾匹かの大蟹を捕えて貰い、岩にぶつけて甲羅を割って、ペロペロと平げた。今考えると不気味にも汚くも思われるが、その時は、まだモヤモヤと動いている太い足をつぶして、その中のドロドロしたものを啜るのが、何とも云えずうまかったものだ。
飢餓が恢復すると、私達は少し元気になって、徳さんとお互の身の上を話し合った。
「そうすると、わしらは死ぬまでこの穴を出る見込みはないのだね」私達の苦心談を聞いた徳さんが、絶望の溜息を吐いた。
「わしは残念なことをしたよ。命がけで、元の穴から海へ泳ぎ出せばよかったのだ。